スポーツエコシステム推進協議会、海外スポーツベッティングサイトに関する調査(2025年版)を実施
~我が国の違法市場が6.4兆円(うち日本のスポーツへの年間賭け金総額は1.2兆円、前年比20%増)、フリーライド市場は5.4兆円に~1
一般財団法人スポーツエコシステム推進協議会(本部:東京都渋谷区、代表理事:稲垣 弘則)では、昨年に引き続き、海外スポーツベッティングサイト2に関する調査(以下「本調査」といいます。)を実施いたしましたので、お知らせいたします。
◆本調査の背景と概要
近年、日本居住者向けに運営されている海外オンラインカジノサイトへのアクセスが増加しており、警察庁及び警視庁は、オンラインカジノを利用した賭博の取り締まりを強化しています3。
当協議会では、スポーツを賭けの対象とする違法なスポーツベッティング(以下「違法スポーツ賭博」といいます。)を含むオンラインカジノサイトを利用した違法賭博を巡る問題が引き続き社会的関心を集めている状況を受け、その後の動向を把握するため、本調査を実施いたしました。
その結果、2025年における、
日本所在者が日本所在者向けに運営されている海外スポーツベッティングサイトを利用することにより形成される市場(以下「日本違法越境市場」といいます。)の規模が約6.4兆円(2024年比-約1.6%)と推計
され、継続して大きな規模を維持していることが確認された中で、
日本のスポーツを対象とした日本所在者による年間賭け金総額は約1.2兆円(2024年比+約20.0%)と推計
され、日本のスポーツを対象とする割合が増加していることが判明しました4。
また、2025年における、
日本を含む全世界において日本のスポーツを賭けの対象とするスポーツベッティング市場(以下「フリーライド市場」といいます。)の規模が約5.4兆円(2024年比+約11.0%)と推計
され、市場規模を拡大していることが明らかとなりました。
1 本調査では、前年の調査との比較の観点から、前年同様1ドル=140円で金額換算を行っています。
2 本調査では、海外スポーツベッティングサイトのうち、少なくとも海外においては合法的にライセンスを取得するなどして事業を行うことを認められたスポーツベッティング事業者が運営するサイトに限定して調査を実施しています。
3 警察庁「オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!|警察庁Webサイト」
(
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/onlinecasino/onlinecasino.html
)
4 本調査の対象は、海外において事業を行うことを認められた事業者が運営するサイトに限定しており、いかなる国においてもライセンス等を取得していない事業者が運営するサイトを利用するケースは多いと想定されるものの網羅できていないことから、日本においては、約6.4兆円の日本違法越境市場を超えるさらなる甚大な規模の違法市場が拡大している可能性がございます。
本調査の結果の詳細は、以下の通りです。
◆本調査の結果
1. 日本のスポーツを対象とした日本違法越境市場及びフリーライド市場の拡大
日本からアクセス可能な海外スポーツベッティングサイトは年々新しいものに入れ替わっているものの、引き続き、2025年5月14日付プレスリリース5にて公表した状況と同様に、
日本の野球、サッカー、バスケットボール、テニス、ゴルフ等の主要プロスポーツの試合のほか、大相撲、高校野球等の試合も賭けの対象になっており、そのほとんどが日本語でサービスを提供していることが確認されました。
加えて、当協議会では、本調査において、業界最大手の海外データプロバイダー等に依頼し、日本違法越境市場及びフリーライド市場に関する市場規模の金額算定を試みました。
その結果、2025年における日本違法越境市場の規模は年間賭け金総額約6.4兆円と推計され、
2024年比で約1.6%減少しているものの継続して大きな規模を維持していることが確認されました。
その中で、日本のスポーツを対象とした日本所在者による年間賭け金総額は約1.2兆円と推計されており、2024年比で約20.0%増加していることが判明しました。
特に、日本プロ野球への年間賭け金総額は約6,595億円と推計され、2024年比で約24.9%と大きく増加しています。
独立行政法人日本スポーツ振興センターが公表した2025年度の日本におけるスポーツくじの年間賭け金総額は約1,380億円(予想系約126億円、非予想系約1,255億円)6であることを踏まえると、日本違法越境市場は日本において巨大なマーケットを形成しており、日本のスポーツを対象とする割合が増加しているといえます。
また、2025年におけるフリーライド市場の規模は年間賭け金総額約5.4兆円と推計され、2024年比で約11.0%増加していることが確認されました。
フリーライド市場において賭けの対象となった日本のスポーツの主要競技別内訳(別紙)によれば、年間賭け金総額約5.4兆円の半分を超える約3.1兆円が日本のサッカーの試合に対して賭けられており、主要競技毎の国別シェア内訳(別紙)によれば、引き続き、主に中国を中心としたアジア諸国や米国居住者が日本のスポーツを対象とした賭けを行っていることが判明しました。
そして、フリーライド市場については、日本のスポーツに関するデータや映像が無断で取得・利用される「ただ乗り」(フリーライド)7の事例が引き続き生じていることも確認されています。
日本違法越境市場及びフリーライド市場の規模の詳細は以下を、その他競技別の市場規模内訳等は別紙をご参照ください。
5 一般財団法人スポーツエコシステム推進協議会「スポーツエコシステム推進協議会、海外スポーツベッティングサイトに関する調査を実施~我が国の違法市場が6.5兆円に拡大~」(2025年5月14日)
(https://council-sep.org/news/20250514/)
6 独立行政法人日本スポーツ振興センター「スポーツくじ 令和7年度売上は、過去最高となる約1,380億円!」(2026年3月31日)
(
https://www.jpnsport.go.jp/sinko/Portals/0/sinko/sinko/pdf/happyou20260331.pdf
)
7 具体的な態様としては、ライツホルダーから権利許諾を受けていない第三者が試合会場に観客として入場し、インカムの使用や動画撮影により、試合情報を即時に外部に送信・伝達しているケースが見受けられます。
2. 違法スポーツ賭博及びフリーライドの認知率及び対策意識(認知者の8割超が対策が必要と回答)
本調査においては、日本国内の20歳から69歳の男女1,000名(各年代の人数は人口構成比に従って抽出)を対象に、インターネット調査を実施いたしました。
本調査の結果、違法スポーツ賭博の認知率は24.6%、フリーライドの認知率に至っては11.0%に留まり、社会課題としての浸透は初期段階にあり、不十分な水準にあることが判明しました。
また、いずれの認知率についても、男性>女性、若年>中高年>シニアという傾向が見受けられました。
一方で、本調査においては、違法スポーツ賭博又はフリーライドの存在を認知している者を対象に、スポーツ賭博及びフリーライドが引き起こす弊害の説明文を提示した後に、違法スポーツ賭博及びフリーライドへの対策意識についてもインターネット調査を実施いたしました。
本調査の結果、違法スポーツ賭博の存在を認知している者の違法スポーツ賭博への対策意識率(対策すべきという意識を持つ人の割合)は86.6%、フリーライドの存在を認知している者のフリーライドへの対策意識率は83.6%であり、高水準にあることが判明しました。
【違法スポーツ賭博及びフリーライドの認知率及び対策意識率】
◆今後の方針
当協議会はこれまで、日本違法越境市場及びフリーライド市場の規模が拡大することに伴い、八百長を含む不正操作・腐敗のリスクをはじめ、あらゆるリスクから選手を守るために情報発信を行ってまいりました。
本調査の結果、上記の通り、日本違法越境市場の規模は年間賭け金総額約6.4兆円、フリーライド市場の規模は年間賭け金総額約5.4兆円と推計されることが確認されました。
諸外国においては、欧州評議会を中心に、マコリン条約8に基づいて「ナショナル・プラットフォーム」と呼ばれる情報集約・連携組織が各国で組成され、ナショナル・プラットフォーム・ネットワーク(コペンハーゲン・グループ)を通じた国際的な連携が進められています。
これにより、各国における情報連携体制のもと、違法スポーツ賭博対策を含む不正操作・腐敗防止に関する先進的な対応・取組が行われていますが、日本においては、こうした体制構築、対策等が遅れているのが現状です。
このような状況を受けて、当協議会では、2024年から、欧州評議会、
FIBA(Fédération Internationale de Basketball)、MLB(Major League Baseball)、ITIA(International Tennis Integrity Agency)等の違法スポーツ賭博対策を含む不正操作・腐敗防止に関する先進的な対応・取組を行う海外団体・機関との間で連携を始めました。
また、2025年1月と3月には、欧州評議会、当協議会のパートナー団体、評議員、理事、海外団体・機関を参加者とした勉強会を開催し、情報収集及び意見交換を実施してまいりました。
そして、2025年6月、同年12月、2026年5月には、コペンハーゲン・グループの定期会合に現地参加をするとともに、その他の違法スポーツ賭博対策に関連するINTERPOLや各国組織主催のイベント・会合にも参加し、諸外国における違法スポーツ賭博及びフリーライドに関する情報収集及び連携体制の構築を進めております。
また、当協議会では、2025年より、5月にシンポジウム、12月にカンファレンスを開催し、上記の情報収集及び連携体制を踏まえた、国内外の有識者及び実務家による違法スポーツ賭博及びフリーライドに関するセッション等を実施することにより、これらの問題に対する認知の拡大に努めております。
当協議会は、引き続き関係省庁、国内外のスポーツ団体、規制当局その他の関係機関との連携を深めながら、違法スポーツ賭博及びフリーライド市場に関する調査・分析、不正操作対策を含む実務的な対応策の検討及び国際的な情報連携体制の構築に取り組んでまいります。
8 スポーツ競技の不正操作の問題に取り組む国際的な協力体制を推進する法的枠組みを世界で初めて提示した条約。
◆協議会ホームページ https://council-sep.org/
【別紙】
① 日本違法越境市場
(1) 賭けの対象となった日本のスポーツの主要競技別内訳(2025年)(C-SEP調査)
(2) 賭けの対象となった日本のスポーツの主要競技毎の国別シェア内訳(2025年)(C-SEP調査)
② フリーライド市場
(1) 賭けの対象となった日本のスポーツの主要競技別内訳(2025年)(C-SEP調査)
(2) 賭けの対象となった日本のスポーツの主要競技毎の国別シェア内訳(2025年)(C-SEP調査)
③ その他
海外スポーツベッティングサイトにおいて賭けの対象となったスポーツの競技別内訳、及び海外スポーツベッティングサイトが利用された国/地域別内訳(2025年)(C-SEP調査)
